実習での学びとは何か? 管理栄養士外池さんが臨地実習指導で学生に伝えたこと。

六心会清水苑(せいすえいん)では、栄養管理を学ぶ学生の臨地実習を毎年受け入れている。管理栄養士を目指す学生2名に指導役の現役管理栄養士外池詩穗さんが伝えた「大切なこと」とは何か、語ってもらった。

-------------------

栄養管理の臨地実習は、例年受け入れていて、私自身もとても楽しみにしているイベントです。楽しみの理由は2つあり、1つ目は若い感性と交わることができ、刺激をもらう機会、初心に帰る機会であるということ。2つ目は、調理現場のマネジメントも含めた管理栄養士という専門職としての原点を確認する機会になるということ。この2点です。

 

 

初めての実習で、スタート時点ではガチガチに緊張しておられましたね。先輩調理スタッフと連携がうまくできるか少し心配もしましたが、受け入れスタッフのサポートと本人たちの熱心さでカバー。時間が経つにつれていい笑顔もみられるようになりました。

(写真 左から、京都光華女子大学健康科学部健康栄養学科管理栄養士専攻 菅森さん、翁さん)

 

 

今回の実習では給食の運営、大量調理マネジメントについて日常の学校では学べないところを実際の現場に入って体験してもらいたいですね。例えば、限られた時間と限られた人員での良質な給食とする方法、急な変更なども日常茶飯事で、ディレクションする管理栄養士と他の調理スタッフと相談しながら安全な変更へ運ぶ手法、喫食する方の状態に合わせた調理仕上げの変更なども学んで欲しいなと思います。

給食の現場では、美味しいと感じていただきながら喫食される方のお口を経て、最終的に心身の健康維持が目的です。食後の感想やその後の体調変化がないかまでもトータルでケアする、高度ですがそこまで役割は広がっていることも伝えたいと思っています。

 

 

実習の最終日では、スイーツ作りにもチャレンジしてもらいました。

「さつまいもきんちゃく絞り」。

食味の感想はどうだったか、たくさんお方の意見や感想を踏まえて、それも学びとして欲しい。私の感想は、自然な甘さが舌に残る、とても素晴らしい出来だったと思います。

 

和食が「食の無形文化遺産」としてユネスコに登録されたように、食への文化的なアプローチが近年一気に高まっています。今回実習をしてくれている彼女たちが、医療や福祉の管理栄養士として歩むのか、メーカーや飲食業も含めた多岐にわたるフード業界へ進むのかは分かりませんが、「食べる」ことに関する「おいしさ」を追求するというこの職業の醍醐味は忘れないで歩んで欲しいな、と思います。

(写真 左から、管理栄養士外池さん、実習生翁さん、菅森さん、管理栄養士河村さん)

 

私自身も多くのことを学ぶ機会となりました。実習生のお二人、翁さん、菅森さん、そして一緒に指導を担当してくれた河村さんに感謝したいと思います。

(六心会清水苑管理栄養士 外池詩穗)