学生の学びから得た学び

六心会では、よほどのことがないかぎり、学生の介護実習を断ることはない。地域密着型特養きいとでも、2月から2名の実習生を受け入れた。

学校では対人援助に必要となる理論、知識、技術の基礎を学び、現場実習では学校での学びを実践する、すなわち体験学習を行う事になる。

実習のお二人。施設としても多くの学びをいただいた。


日々の現場実習では、利用者への直接援助を通して、技術を学ぶだけではない。提供するケアの根拠や背景を論理的、科学的に思考する「プロセス」の学びも大きな目的の一つだ。実習生は、介護過程の展開を実践的に学ぶ事になるわけであるが、実習の意義は受入施設にとっても大きい。

指導・助言を担う施設職員も学生の視点、気づきに「はっ」とする事がある。困っている人の役に立ちたい…、お年寄りと関わる事が大好きで…、純粋なこの気持ちがあればこそ気づける事、考えられる事、行動出来る事が多くある。

学生がご利用者の言葉に耳を傾ける姿、説明が伝わるように言葉選びを工夫する姿、コミュニケーションが難しい方が何を求めているのか分かろうと観察する姿。これらは対人援助を志す者として大切な姿勢である。

食事介助の一風景

 

多くの介護職員は経験と共にケア技術の応用力や判断力は向上する。大切なのは専門的なスキルの向上と共に、支援者として相手に寄り添い、相手を知ろうとする気持ちと姿勢を持ち続け、実践する事であるという事が学生達の姿を通して私自身が学んだ事である。

福祉の仕事に興味を持ち、介護職を目指して頑張っている学生達が実習を通じて多くの学びを得て、介護の仕事の価値を感じてもらいたい。受け入れる施設として使命感を持って実習のサポートを行っていかなければと感じている。

高口 誠 (地域密着型特別養護老人ホーム きいと施設長)