今年度、当会は東近江市から委託を受け、介護予防日常生活サービス事業を開始しました。通称「パタカラ教室」。この「パタカラ」は「パ」「タ」「カ」「ラ」という音を使うことで、口や舌の筋肉を鍛える嚥下体操がそもそもの由来です。食べ物を飲み込むために必要な筋肉を効率よく鍛えることを目指し、運動機能向上・口腔機能向上・栄養改善・認知症予防を学び、自分らしく生活する力を育むための全12回のプログラムで構成しています。「杖を持たずに歩く歩数が増えた」、「背筋が伸びた」と体の変化を感じる方、「ここに来て話すことが楽しみ」と教室をきっかけに再会した方や教室の回を重ねるうちに顔なじみになる方など、様々な効果を感じています。介護の仕事というと「介護が必要になった人を支える」イメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、“介護が必要になる前”からの支援、つまり「介護予防」の取り組みも大切な役割です。
教室の実施には、東近江市保健センター、東近江市地域包括支援センター、五個荘地域包括支援センター、湖東歯科医師会口腔機能管理支援センター、当会の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士などの専門職がチームで関わります。カンファレンスを開催し、参加者個別の課題はもちろん、交通手段や地域の集う場などの情報も共有しています。参加されるみなさんが開催当日だけでなく、自宅での運動や教室卒業後も如何にして自発的に楽しみながら運動を継続してもらえるのか等、それぞれの識見を寄せていきたいと考えています。専門職としてこの地域で暮らすことを支える、共に健康を守ることに学びとやりがいを感じています。介護老人保健施設ここちの郷 老健生活課課長 作業療法士 小菅知子